Linuxとの出会い

Linux & WEB

そもそも、Linuxとの出会いは、四半世紀ほど前にさかのぼります。当時、ISDN回線が拡大しており、それまでのアナログモデムによる低速接続より、幾分高速な回線を手に入れることができたことで、少しだけ世界が拡がって見えたことを覚えています。その頃は、実父が主宰していた会社が倒産し、放り出される形で独り暮らしを始めており、唯一手元に残ったデスクトップパソコンで、ネットワークサーバーに関して、日々情報を集めていました。そんな中、生活以外に金銭的余裕はなかったのですが、食費を切り詰めてISDN回線だけは、なんとか使うことができていました。

ある日、書店でISDN回線と固定IPでインターネットサーバーを作ることができる、という内容の書籍を見つけました。その書籍には、RedHat LinuxのブートCDが付録としてついており、手順通りに操作を進めれば、インターネットサーバができるようでした。ホームページなども、まだまだ少なく、個人でのブログなど遠い夢の時代に、その器であるサーバを自分で持つことができることに、興奮を覚えました。

まずは、固定IPを提供しているプロバイダーと契約のし直しです。それまで使用していたF社は比較的リーズナブルな価格で回線を使用できていましたが、固定IPを払い出してもらうサービスがあることでN社に切り替えたところ、金額はそれまでの4倍に増えたことを思い出します。そして、さらに食費が切り詰められたことも思い出されます。

次にサーバー用の端末を用意すべく、当時はまだまだ限られた場所でしか中古パソコンが手に入らず、また、入手できたとしても安価ではありませんでした。それでも、何とか練習用のデスクトップパソコンを入手し、書籍付録のCDよりRedHatをブートしました。それまでのOS遍歴は、MS-DOS(for NEC)から入り、Windows3.0、3.1、OS/2 2.1 for Windows、OS/2 Warp 3.0、Windows95、Windows98という、紆余曲折を経ておりましたが、Linuxというものに触れることはこれが初めてでした。その時は、見よう見まねで何とかサーバーを構築し、ホームページやら、メールアドレスの発行やら、FTPでのファイルのやり取りなどをしながら、インターネットの仕組みを体感として学ぶことができました。

サーバー用途でのLinuxでしたので、デスクトップ環境はインストールしておらず、専ら黒い画面内に、そっけない白い英単語を並べては、Windows端末より動作確認などをおこなっておりました。さらに、Linuxを学ぶにつけて、様々なディストリビューションが存在することを知り、しかも無償で入手できるという、当時の自分にはうってつけの遊び道具を手に入れた感動がありました。以降は、さらに中古パソコンを追加購入し、色々なディストリビューションを試したり、デスクトップ環境であるGUIに「挑戦」する日々でした。その頃のLinuxではまだまだX Window System(デスクトップ環境を提供するサービス)も完全には確立されておらず、X起動時に「×」のマークが表示されている際に、マウスを動かしてしまうと、マウスが使用できなくなるという、とても使い勝手が良いとは言えない代物であったことも懐かしく思います。

現在では、Windows、MacOSと肩を並べるOSの一つになったLinuxですが、その利用方法はやはりサーバーや組み込み系が多く、一般のビジネスユーザーやプライベートユーザーのシェアは低いままです。ことさら、Linuxを使おう!などと声を張り上げる気もありませんし、比較的、マイノリティ好きのあまのじゃくな自分は、このまま、ニッチなOSであっても良いかと考えています。

自分の仕事でパソコンと初めて向かい合ったのは、実父の経営していた設備会社で、配管図面をCADで書き始めたことです。その後、放り出されたときは、配送業をはじめ、プライベートでMacintoshで漢字Talkを使ってみたり、Windowsでゲームをしたり、前述の、個人でインターネットサーバーを構築してはLinuxと格闘したりの毎日でした。ですので、OSに対するこだわりやアレルギーなどはなく、好きな時に好きなOSを使えばよいという考えは今でも変わっていません。

過去にApple社が対Windowsの比較広告を、日本版としてお笑いコンビ、ラーメンズが行っておりましたが、あまり愉快なものではありませんでした。その広告を見るたびに、Macを使う頻度が減っていったように思います。比較や競争は必要なのでしょうけれども、他を悪く流布することでは、自らが優れている証明にはならないと思うのです。

少し横道にそれましたが、職業が変わるたびにOSを使い分けてきました。行政の主催した無料パソコン教室の講師を務めていた時には、もちろんWindowsで説明やら資料やらを作っておりましたし、デザイナーの真似事で給料を得ていた時には、Apple + Adobeが必須でした。
そして、現職ではフロントエンド開発ではあるのですが、それまでの蓄積により、バックヤードも手伝うことがあり、起業と同時にメインマシンはLinux、その中でもManjaro Linuxを採用しました。当然、デザイナーとのやり取りや、多方面との折衝があるので、MacintoshやWindowsマシンも常設しています。

でも、やっぱりLinuxが好きです。デスクトップ環境では困ることもありますが、あまのじゃくの自分は楽しくて仕方がありません。最近では、我流でやっつけてきたLinuxをもう一度基礎から学ぶべく、資格取得を目指していたりします。

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